新型コロナウイルスの感染者ゼロが続く岩手。
真面目な県民性。そして東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県よりも広い面積に人口120万人という密度の低さがそこに表れているのかもしれません。
そのおかげもあって高校グラウンドには練習に打ち込む球児たちの姿があります。
夏の甲子園が中止となった今、岩手の高校球児たちは日頃の鍛錬の成果を発揮する花道を飾ることができるのでしょうか。
幻となった夏の大舞台
5月20日。
日本高野連は新型コロナウイルスの影響で第102回全国高校野球選手権大会について、地方大会も含め中止とすることを正式決定。これは1941年に次いで79年ぶり3度目、戦後では初めてで、春夏連続での中止は史上初となりました。また今夏の全国軟式野球選手権大会も史上初の中止が決まっています。
主な中止理由として、「休校や部活動停止などの長期化から練習不足によるケガの増加が予想されること」や「運営や審判員、医療スタッフの確保が難しいこと」、そして「長時間移動や宿泊などによる感染と拡散のリスクが避けられないこと」などが挙げられました。
新型コロナウイルスの脅威が収まっていない現状で、将来のある子どもたちの健康を第一に考えた苦渋の決断だったことが伺えます。
前を向く岩手高野連
ここからがスタート。
岩手高野連は代替大会開催の可否について「日本高野連の意見も勘案しつつ、新型コロナウイルス感染拡大の状況を踏まえた上で、関係各機関と慎重に協議を進め、選手の健康・安全を最優先に検討する」としています。
岩手高野連は従来の開催方法にとらわれない考え方で独自開催を模索しています。
無観客試合を前提として、広大な岩手県での移動や宿泊のリスクを考え、春秋大会のように各地区でのトーナメント方式から開幕し県大会出場校を決定する案、開催時期を6月下旬に早めて学業への支障を減らす案などが練られています。
もちろん制限付きではあるものの部活動は行われているので練習不足によるケガのリスクを考えなくても良いのは幸いです。
また日本高野連の八田会長は各地方の代替大会について「ある程度の限界はあるかもしれないが、財政的な支援はさせていただく」と言及しています。
しかし道のりはまだまだ険しいでしょう。
検温やマスクは当然として、ベンチや控室といった球場設備などの消毒体制の確立。従来以上に医療スタッフも配置しなければなりません。越県は感染のリスクも高まることから選手や関係者といった球場に出入りする全ての人について一定期間の行動履歴を管理する必要もあるのではないでしょうか。そして万が一感染者が出た場合の対応も想定しなければなりません。
代替大会が実現すれば高校球児たちにとっては貴重な機会に。
また中止を余儀なくされた様々なスポーツ大会の再検討を促す良い前例にもなります。
開催までは険しい道のりが続くものの大きな期待がかかる岩手の高校野球界。
岩手高野連は5月25日の臨時常任理事会と6月9日の常任理事会で独自での開催可否を協議し、6月10日に発表する見込みとなっています。
甲子園中止の報道が先行しても球児たちは練習していました。
日本高野連が選手権中止の正式発表した日も球児たちは練習していました。
「ゲームセットまで諦めない」
集大成の夏は必ずやって来ると信じています。